私の初めてのアルバイトは、正規なものではありませんでした。

初めてのアルバイト
初めてのアルバイト

私の初めてのアルバイトは、正規なものではありませんでした / 46歳 女性

私の初めてのアルバイトは、正規なものではありませんでした。
私の家はあまり裕福ではなかったのですが、なぜかアルバイトは禁止されていました。

しかし、禁止されればされるほど、やってみたいと思うのが人間です。
アルバイトに憧れていた私は、友人のアルバイトの手伝いという形で念願の職場に立ちました。

それはデパート内に特設されたパン販売店の売り子でした。
友人はさすがに手馴れたもので、自分一人の判断でやるべき事を見つけて動いていましたが、初めての私は何から手をつけていいのかわからず、同い年の友人の指示をずっと待っている状態でした。

それまでの私は、ずっと家の中で一人で過ごす事が多く、見知らぬ人と話をするのは苦手だったのですが、接客業ですから人を避けてばかりもいられません。商品を選んでくれたお客様と、会計以外の世間話をするのも仕事です。

しかし、話題の乏しい私は、何から話せばいいのか見当もつかずおろおろしていて、手伝うつもりが友人の足を引っ張ってばかりでした。

ようやく手伝いが終了した時、友人が売れ残りのパンをいくつかくれました。
「今日はご苦労様、ありがとう」の言葉とともに。何の役にも立たなかったのに、正当な対価を頂けた事に、当時の私はとても感動し、涙が出るほど嬉しかった事を覚えています。
初めてのアルバイトでもらったバイト代はとても美味で、世の中はお金だけではないという事をその時学びました。
楽しくもあり辛くもあったアルバイトですが、机上の勉強だけでは得られない充実感と満足感に包まれ、良い経験をさせてもらったと思います。